いつかの夢の話です。

 曇天日和の 停留所

 貴方と私が おりまして

 ベンチに二人 腰掛けて

 仲良く並んで おりました。

 どういうわけだか 私は

 うつらうつらと 船をこぎ

 うとうとうとうと ふらふらら

 夢か現か わからぬままに

 貴方の並んだ 膝元へ

 この身をまかせて 眠ります。

 心地い貴方の お膝元

 その時貴方は 私の

 乱れた髪を そっと撫で

 額に口づけ くれました。

 貴方の唇 触れたそこ

 そこだけ熱く なりました。

 まるで真夏の 微熱のように

 私を包んで ゆくのです。

 それから貴方は 耳元で

 『貴女が好きだ。』と 囁いて

 頬を赤く 染めながら

 私の目覚めを 待ちました。

 神様お願い もしこれが

 私にくれた 人生の

 最後の幸だと 言うのなら

 あと一回だけ 目を開けて

 そう一言だけ この口で

 彼に返事を したいです。

 欲を言うなら もう一度

 今度はちゃんと 唇に

 口づけひとつ 欲しいです。

 だけど神様 意地悪ね。

 こんな小さな 願いすら

 叶えて下さる こともなく

 なにも言わずに この私

 消えてなくなる ことでしょう‥‥

 それでは貴方に お別れを。

 さよなら 私の好きな人。

 ありがとう 私の好きな人。

 もしも 生まれ変われたら

 その時も また愛しましょう。

 最初で最後の片想いに 終止符を‥‥

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